JASMINE計画

JASMINE計画(ジャスミン計画、Japan Astrometry Satellite Mission for INfrared Exploration)とは日本の国立天文台のJASMINE検討室が中心になって推進している位置天文衛星計画であり、Nano-JASMINE、Small-JASMINE、(Medium-sized) JASMINEの3段階の衛星が計画されている。 欧州宇宙機関(ESA)のガイア計画と共にヒッパルコス衛星を後継する観測を行い、天の川銀河について詳細に調べることを目標としている。全体としてガイア計画と相補的な観測を行う計画になっている[1]

概要

Nano-JASMINEは主鏡口径5cm、重量35kgの小型衛星であり、近赤外を中心としたzwバンドでヒッパルコスやガイア計画と同様に全天サーベイを行う。観測精度はヒッパルコスと同程度であるが、ガイア計画では観測困難な6等星程度より明るい星では貴重なデータを得ることができる。すでに衛星は完成しており、当初は2011年8月に打ち上げ予定であったが、スケジュール延期が続き、2018年12月現在打ち上げ時期は調整中となっている[2][3]

Small-JASMINEは主鏡口径30cm、重量400kgの予定である。Nano-JASMINEより少し長波長のHwバンドを用いてバルジの一部(数平方度)を集中的に観測する。観測精度はガイアと同程度である。赤外線による観測を行うことにより、可視光で観測するガイアでは吸収が強くて観測困難なバルジの情報を得ることができる。ISAS/JAXAの小型科学衛星プログラムによる打ち上げを目指している。2019年5月14日、宇宙科学研究所 (ISAS) によって公募型小型3号機に選定された[4]。 2028年度打ち上げの予定である[5]。現在は JASMINE 衛星というと、この Small-JASMINE を指す。目標精度は Hw で 12.5等以下の場合に25マイクロ秒、Hw で 15等以下の場合に150マイクロ秒としている。

(Medium-sized) JASMINEは主鏡口径80cm、重量1500kgを想定している。HwバンドまたはKwバンドを用いてバルジのほぼ全体(約200平方度)を観測する計画である。観測精度はガイアと同程度である。バルジの奥行きを含めた3次元地図が作成できる。2030年代に実施が計画されている。

2019年8月に JASMINE Consortium が立ち上げられている。ここでは3つのワーキンググループが構成されている。

  • Data Analysis
  • Science Validation and Preparation
  • Outreach

2022年日本天文学会秋季年会では、企画セッションが設けられ、プロジェクトの遂行およびプロジェクトにより得られる科学的成果の議論がなされた[6]

出典

  1. ^ “位置天文観測衛星計画について~GaiaとJASMINE~”. SGMAPミニワークショップ@広大. 2015年10月6日閲覧。
  2. ^ “宙に浮く日本初の位置天文衛星 国際情勢が翻弄”. 日経新聞. (2014年5月17日). https://www.nikkei.com/article/DGXZZO71244570V10C14A5000000/ 2015年10月6日閲覧。 
  3. ^ “ESAの宇宙望遠鏡「ガイア」 - 史上最も詳細な「銀河系地図」を作成”. マイナビニュース. (2018年5月2日). https://news.mynavi.jp/techplus/article/20180502-624845/ 2018年12月6日閲覧。 
  4. ^ 國中均 (2019年5月22日). “宇宙科学・探査プロジェクトの進め方について/第47回宇宙産業・科学技術基盤部会”. 宇宙科学研究所/宇宙航空研究開発機構. 2019年11月17日閲覧。
  5. ^ 宇宙開発戦略本部 (2022年12月23日). “内閣府 宇宙基本計画 工程表(令和4年12月23日 宇宙開発戦略本部決定)”. 内閣府. 2023年2月5日閲覧。
  6. ^ “日本天文学会2022年秋季年会企画セッション Z.2 JASMINEが切り拓く近赤外時系列位置・測光天文学”. 日本天文学会 (2022年9月13日). 2023年2月5日閲覧。

関連項目

外部リンク

  • 国立天文台 JASMINE プロジェクト
  • Scientific Goals and Missions—JASMINEプロジェクト
  • 国立天文台特別公開 JASMINEプロジェクト特設サイト
  • 天の川を探る赤外線位置天文観測衛星JASMINE JAXA 第5回宇宙科学シンポジウム 将来計画(2005年1月)