麻疹ウイルス

麻疹ウイルス
麻疹ウイルスの電子顕微鏡像
分類
レルム : リボウィリア Riboviria
: オルソルナウイルス界 Orthornavirae
: ネガルナウイルス門 Negarnaviricota
亜門 : ハプロウイルス亜門 Haploviricotina
: モンイウイルス綱 Monjiviricetes
: モノネガウイルス目 Mononegavirales
: パラミクソウイルス科 Paramyxoviridae
亜科 : オルソパラミクソウイルス亜科 Orthoparamyxovirinae
: モルビリウイルス属 Morbillivirus
: 麻疹ウイルス Measles morbillivirus

麻疹ウイルス(ましんウイルス、はしかウイルス、Measles morbillivirus)とは、麻疹の原因となるウイルスで、パラミクソウイルス科モルビリウイルス属に属するRNAウイルスである[1]

RNAは一本鎖であり、直径100 - 250nmのエンベロープを有する。6つの構造蛋白質があり、表面のエンベロープに有するF(fusion)蛋白とH(hemagglutinin)蛋白が、病原性に大きく関わっている。また、麻疹の発症のみならず、リンパ組織に感染するため、免疫抑制という症状をもたらす。内に潜伏して変異を起こして亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の原因にもなりうることが知られ、変異したウイルスを「SSPEウイルス」という。

遺伝子解析により24種類の遺伝子型に分類される[2]。2010 - 2018年に日本で検出された遺伝子型は、H1、G3、D9、D8、D5、D4、B3型の7種類で、2012、2017、2018年はD8型、2013、2014年はB3型が多かった[3]

熱、紫外線、エーテルで容易に不活化され、空気中や物体表面での生存時間は短い[2]

牛疫ウイルスを起源としていると考えられている[4]ヒトに感染する麻疹ウイルスの出現時期について、ロベルト・コッホ研究所ドイツ)などはゲノム解析 や感染を広げる都市のユーラシア大陸における形成時期との関連から、紀元前6世紀と推測している[5][6]

脚注

  1. ^ “Virus Taxonomy: 2019 Release”. 国際ウイルス分類委員会 (ICTV). 2020年10月23日閲覧。
  2. ^ a b “麻疹とは”. 国立感染症研究所 (2017年6月7日). 2020年2月5日閲覧。
  3. ^ 麻疹ウイルス分離・検出状況(グラフ) 2018年(2018年5月現在報告数)国立感染症研究所
  4. ^ 加藤茂孝「人類と感染症との闘い―「得体の知れないものへの怯え」から「知れて安心」へ―第7回「麻疹(はしか)」-天然痘と並ぶ2大感染症だった」『モダンメディア』第56巻第7号、栄研化学株式会社、2010年7月、159-171頁、2020年2月5日閲覧 
  5. ^ 「はしかウイルス 2500年前出現か 国際チーム発表、牛から分岐」『日本経済新聞』朝刊2020年6月19日(社会面)2020年6月20日閲覧
  6. ^ "Measles virus and rinderpest virus divergence dated to the sixth century BCE"Science,19 Jun 2020:Vol.368, Issue 6497,pp.1367-1370 doi:10.1126/science.aba9411

関連項目

ウィキスピーシーズに麻疹ウイルスに関する情報があります。

外部リンク

  • 關文緒、竹田誠「モルビリウイルス:麻疹ウイルス,イヌジステンパーウイルスなど」『ウイルス』第62巻第2号、日本ウイルス学会、2012年、175-182頁、doi:10.2222/jsv.62.175、ISSN 0042-6857。 
  • 『麻疹ウイルス』 - コトバンク
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