鉄砲玉

曖昧さ回避 この項目では、ヤクザ用語の「鉄砲玉」について説明しています。銃弾を表す一般名詞の「鉄砲玉」については「弾丸」をご覧ください。

鉄砲玉(てっぽうだま)とは、一度行ったきりで戻ってこない人間のこと。転じて、そのような役割を果たす者。

概要

日本のヤクザ社会において、所属する組織にとって敵対する者を暗殺する実行犯、または相手に殺されることにより抗争のきっかけを作る役割のことを指すヤクザ用語である。

近年では敵対組織へのヒットマンを意味することが多い。アメリカの犯罪用語では「ワン・ウェイ・チケット」とも呼ばれている

主な人物

実在の人物では、山口組九州へ侵出するきっかけとなった博多事件で殺害された夜桜銀次こと平尾国人が有名。

ヒットマン型鉄砲玉としては、第三次大阪戦争のきっかけとなった京都クラブ「ベラミ」で山口組三代目組長田岡一雄狙撃した鳴海清が有名。

政治家の暗殺においてはジョン・F・ケネディを暗殺したリー・ハーヴェイ・オズワルド源実朝を暗殺した源頼家の子の公暁など、暗殺実行後に口封じのために逆に殺される例もある。

鉄砲玉の高齢化

鉄砲玉といえども必ずしも返り討ちに遭うわけではなく、後日、警察署に出頭して無傷のまま収監されるケースも少なくない。組織の威厳を守るために自ら進んで行う刑務所務めは、かつて暴力団の若手組員にとって出世コースの一つであったが、有期懲役の上限が20年から30年に引き上げられ、無期懲役も簡単に仮出所が望めない状況になると、老人になるまで出所できないケースも考えられるようになり、次第に魅力のあるものではなくなった。2019年に発生した鉄砲玉による殺人事件では、主犯の男の年齢が68歳と高齢であり、残りの人生すべてを刑務所で過ごすことがほぼ確実(事実上の終身刑)な状況であったことが話題となった[1][2]。実際に男は裁判の開始前、事件発生後1年余りで病死している[3]

鉄砲玉への保障・報酬

刑務所に入っている期間は、所属している組が家族の生活を保障する例もあるが確実なものではない[4]。組が解散した場合や財政状況によっては反故になることもある。

出所時には、出所祝いとしてそれなりの報酬を渡されるケースもあるが、暴力団対策法の施行後は、警察が組長らに対して出所祝いとして金品を渡すことを禁止する命令を出す例が見られている[5]

鉄砲玉をモチーフにした作品

脚注

  1. ^ “刑務所がヤクザの老人ホーム化 わざと捕まる高齢ヤクザも”. ポストセブン (2019年11月20日). 2019年11月20日閲覧。
  2. ^ “山口組ナンバー2出所へ=強権支配、分裂キーマン-3団体抗争激化警戒・警察当局”. 時事通信. 2019年10月12日閲覧。
  3. ^ “神戸の組員2人射殺事件、初公判前の被告が死亡 病死か”. 朝日新聞 (2020年12月31日). 2021年1月3日閲覧。
  4. ^ “山健組では60歳・組長自ら襲撃 暴力団ヒットマンが高齢化の理由”. FRIDAY DIGITAL (2019年12月10日). 2021年7月24日閲覧。
  5. ^ “対立抗争で服役の“慰労”禁じる…出所組員への金品受け渡し禁止命令 六代目山口組組長と傘下組織会長らに”. 富山テレビ (2021年7月22日). 2021年7月24日閲覧。
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