在アメリカ合衆国カナダ大使館

在アメリカ合衆国カナダ大使館
ペンシルバニア通りのカナダ大使館
地図
概要
用途 外国政府公館
建築様式 新古典主義モダニズムの融合
所在地 ワシントンD.C.、20001
座標 北緯38度53分35秒 西経77度1分6秒 / 北緯38.89306度 西経77.01833度 / 38.89306; -77.01833
完成 1898年
所有者 カナダ政府
設計・建設
建築家 アーサー・エリクソン
テンプレートを表示

在アメリカ合衆国カナダ大使館(ざいアメリカがっしゅうこくカナダたいしかん、英語: Embassy of Canada, Washington, D.C.)は、アメリカにおけるカナダ外交代表部の中心である。大使館ホワイトハウス連邦議会議事堂を結ぶペンシルバニア通りの中間に位置する。この大使館はまた隣接するバージニア州ウェストバージニア州メリーランド州領事業務も担当している。

歴史

カナダ代表部がワシントンD.C.に開設されたのは1927年のことである。この時に公館として利用されたのは、タイタニック号事故で亡くなったクラレンス・ムーアが1907年に建てた建物だった。カナダ政府はこの建物を37万5000ドルで購入し、内装に10万ドルをかけた[1]1931年まではカナダの政府代表はイギリスによって監督されていた。1943年になると代表部は大使館に格上げされ、レイトン・マッカーシーが最初の駐米大使に就任した。

クラレンス・ムーア・ハウス(現・在米ウズベキスタン大使館)

1927年から46年まではこのクラレンス・ムーア・ハウスが公館施設と公使公邸(のちには大使公邸)として利用された。1946年に大使公邸がロッククリーク・ドライブ2825番地に新設されたため、元の施設は大使館機能に限定された。1959年エリザベス2世がアメリカを公式訪問したときには、クラレンス・ムーア・ハウスがアイゼンハワー大統領を招いた答礼晩餐会の会場として使われた。

その後、大使館機能が拡大するにつれ、代表部のオフィスは市内各地に散らばるようになった。そこで政府はアメリカの首都における新しい拠点を求めるようになった。ちょうど同じころ、ペンシルバニア通り開発公社もまたこの通りの再活性化を目論んでいた。こうしたカナダ政府は1978年にペンシルバニア通り沿いの敷地を500万ドルで購入した。そこは以前、フォードの販売代理店と公立図書館があった場所である。現在までのところ、カナダ大使館は連邦議会議事堂にもっとも近い場所にある外国公館である。

新大使館は1989年5月にブライアン・マルルーニー首相によって正式に開館された。この建物には135人の外交官と150人の現地採用スタッフが働いている。

なお、最初のカナダ公使館であったクラレンス・ムーア・ハウスは、1993年以来ウズベキスタン大使館として利用されている。

建築

新しい大使館はブリティッシュコロンビア州出身の建築家アーサー・エリクソンによって設計された。設計者の選任については、エリクソンの友人であったピエール・トルドー首相による抜擢だったため議論をよぶところもあったが、実際にできあがった建築は高く評価されている。エリクソンはこの建築において、オープンスペースを広くとり、緑と水を活かしている。それらは彼がカナダの精神を表現するとみなす要素である。

大使館の入り口にはビル・リードによる『ハイダ・グワイの精神』という大きな彫刻が展示されている。大使館の建物の南西角には「諸州のロタンダ」という12本の列柱によって支えられたドーム屋根を頂く空間がある。これら12本の柱は、1989年時点でカナダ連邦を構成している10のと2つの準州を表している。1999年にノースウエスト準州から分離されたヌナブト準州はロビーにおかれたイヌクシュクによって象徴されている。またロタンダをめぐる落水は、カナダ・アメリカ国境にあるナイアガラの滝を表している[2]

大使公邸は市内ノース・ウェスト区にある大使館通り近くのロッククリーク・ドライブにある。レンガ造りの巨大な館と広大な庭をもつこの大使公邸に最初に住んだのはレスター・B・ピアソン (のちの首相)だった。カナダ大使館はこの他にもいくつかの施設を所有している。

在米カナダ総領事館・領事館

カナダ大使はまたアメリカの12の地域にある総領事館と3つの領事館についても責任をおう[3]

ギャラリー

  • 諸州のロタンダ、在米カナダ大使館正面
    諸州のロタンダ、在米カナダ大使館正面
  • イヌクシュク、在米カナダ大使館ロビー
    イヌクシュク、在米カナダ大使館ロビー
  • 在米カナダ大使公邸
    在米カナダ大使公邸
  • ビル・リード作『ハイダ・グワイの精神』、在米カナダ大使館玄関前
    ビル・リード作『ハイダ・グワイの精神』、在米カナダ大使館玄関前

脚注

  1. ^ “Clarence Moore House, Historic American Buildings Survey”. The Library of Congress. 2012年11月26日閲覧。
  2. ^ “About the Embassy”. Foreign Affairs and International Trade Canada. 2012年11月26日閲覧。
  3. ^ “Canadian Government offices in the U.S”. Foreign Affairs and International Trade Canada. 2012年11月26日閲覧。

関連項目

外部リンク

  • “Embassy of Canada in Washington”. Foreign Affairs and International Trade Canada. 2012年11月26日閲覧。 (公式サイト・英文)
  • “Historic American Buildings Survey/Historic American Engineering Record”. The Library of Congress. 2012年11月26日閲覧。 (米国議会図書館所蔵のクラレンス・ムーア・ハウス外観・内観写真)
カナダの在外公館(英語版)
アジア
大使館
  • アフガニスタン(英語版)
  • アラブ首長国連邦(英語版)
  • 日本
総領事館
領事館
その他
  • 中華民国(台湾)(英語版)
オセアニア
高等弁務官事務所
  • オーストラリア(英語版)
ヨーロッパ
大使館
  • ウクライナ(英語版)
  • クロアチア(英語版)
  • ドイツ(英語版)
  • ノルウェー(英語版)
  • ハンガリー(英語版)
  • フランス
  • ポーランド(英語版)
  • ルーマニア(英語版)
  • ロシア(英語版)
高等弁務官事務所
その他
アメリカ
大使館
  • アメリカ合衆国
  • ブラジル(ポルトガル語版)
  • メキシコ(英語版)
高等弁務官事務所
  • バルバドス(英語版)
総領事館
  • シカゴ(英語版)
  • ボストン(英語版)
国際機関
その他
  • 在ヒューストンカナダトレードコミッショナーサービス事務所(英語版)
廃止
総領事館
領事館
カナダの在外公館(英語版)   カテゴリカテゴリ
在アメリカ合衆国外国公館(英語版)
アジア
大使館
  • アゼルバイジャン(英語版)
  • アフガニスタン(英語版)
  • アラブ首長国連邦(英語版)
  • アルメニア(英語版)
  • イエメン(英語版)
  • イスラエル(英語版)
  • イラク(英語版)
  • インド(英語版)
  • インドネシア(英語版)
  • ウズベキスタン(英語版)
  • オマーン(英語版)
  • カザフスタン(英語版)
  • カタール(英語版)
  • カンボジア(英語版)
  • キルギス(英語版)
  • クウェート(英語版)
  • サウジアラビア
  • シンガポール(英語版)
  • スリランカ(英語版)
  • タイ(英語版)
  • 大韓民国(英語版)
  • タジキスタン(英語版)
  • 中華人民共和国(英語版)
  • トルクメニスタン(英語版)
  • トルコ(英語版)
  • 日本
  • ネパール(英語版)
  • パキスタン(英語版)
  • バーレーン(英語版)
  • バングラデシュ(英語版)
  • 東ティモール(英語版)
  • フィリピン(英語版)
  • ブルネイ(英語版)
  • ベトナム(英語版)
  • マレーシア(英語版)
  • ミャンマー
  • モンゴル(英語版)
  • ヨルダン(英語版)
  • ラオス(英語版)
  • レバノン(英語版)
総領事館
領事事務所
利益代表部
  • イラン(英語版)
  • 北キプロス(英語版)
断交国家
  • 中華民国(台湾)(英語版)
アフリカ
大使館
  • アルジェリア(英語版)
  • アンゴラ(英語版)
  • ウガンダ(英語版)
  • エジプト(英語版)
  • エスワティニ(英語版)
  • エチオピア(英語版)
  • エリトリア(英語版)
  • ガーナ(英語版)
  • カーボベルデ(英語版)
  • ガボン(英語版)
  • カメルーン(英語版)
  • ギニア(英語版)
  • ケニア(英語版)
  • コートジボワール(英語版)
  • コンゴ共和国(英語版)
  • ザンビア(英語版)
  • シエラレオネ(英語版)
  • ジンバブエ(英語版)
  • スーダン(英語版)
  • 赤道ギニア(英語版)
  • セネガル(英語版)
  • タンザニア(英語版)
  • チャド(英語版)
  • 中央アフリカ(英語版)
  • チュニジア(英語版)
  • トーゴ(英語版)
  • ナイジェリア(英語版)
  • ニジェール(英語版)
  • ブルキナファソ(英語版)
  • ブルンジ(英語版)
  • ベナン(英語版)
  • ボツワナ(英語版)
  • マダガスカル(英語版)
  • マラウイ(英語版)
  • マリ(英語版)
  • 南アフリカ(英語版)
  • 南スーダン(英語版)
  • モザンビーク(英語版)
  • モーリタニア(英語版)
  • モロッコ(英語版)
  • リビア(英語版)
  • リベリア(英語版)
  • ルワンダ(英語版)
  • レソト(英語版)
アメリカ
大使館
  • アルゼンチン(英語版)
  • アンティグア・バーブーダ(英語版)
  • ウルグアイ(英語版)
  • エクアドル(英語版)
  • エルサルバドル(英語版)
  • ガイアナ(英語版)
  • カナダ
  • キューバ(英語版)
  • グアテマラ(英語版)
  • グレナダ(英語版)
  • コスタリカ(英語版)
  • コロンビア(英語版)
  • ジャマイカ(英語版)
  • セントクリストファー・ネイビス(英語版)
  • セントビンセント・グレナディーン(英語版)
  • セントルシア(英語版)
  • チリ(英語版)
  • ドミニカ(英語版)
  • ドミニカ共和国(英語版)
  • トリニダード・トバゴ(英語版)
  • ニカラグア(英語版)
  • ハイチ(英語版)
  • バハマ(英語版)
  • パラグアイ(英語版)
  • バルバドス(英語版)
  • ブラジル(英語版)
  • ベネズエラ(英語版)
  • ベリーズ(英語版)
  • ペルー(英語版)
  • ボリビア(英語版)
  • ホンジュラス(英語版)
  • メキシコ(英語版)
オセアニア
大使館
  • オーストラリア(英語版)
  • ニュージーランド(英語版)
  • パプアニューギニア(英語版)
  • マーシャル諸島(英語版)
  • ミクロネシア(英語版)
ヨーロッパ
大使館
  • アイスランド(英語版)
  • アイルランド(英語版)
  • アルバニア(英語版)
  • イギリス(英語版)
  • イタリア(英語版)
  • ウクライナ(英語版)
  • エストニア(英語版)
  • オーストリア(英語版)
  • オランダ(英語版)
  • 北マケドニア(英語版)
  • キプロス(英語版)
  • ギリシャ(英語版)
  • クロアチア(英語版)
  • コソボ(英語版)
  • ジョージア(英語版)
  • スイス(英語版)
  • スウェーデン(英語版)
  • スペイン(英語版)
  • セルビア(英語版)
  • チェコ(英語版)
  • デンマーク(英語版)
  • ドイツ(英語版)
  • ノルウェー(英語版)
  • バチカン(英語版)
  • ハンガリー(英語版)
  • フィンランド(英語版)
  • フランス(英語版)
  • ブルガリア(英語版)
  • ベラルーシ(英語版)
  • ベルギー(英語版)
  • ボスニア・ヘルツェゴビナ(英語版)
  • ポーランド(英語版)
  • ポルトガル(英語版)
  • マルタ(英語版)
  • モナコ(英語版)
  • モンテネグロ(英語版)
  • ラトビア(英語版)
  • リトアニア(英語版)
  • リヒテンシュタイン(英語版)
  • ルクセンブルク(英語版)
  • ルーマニア(英語版)
  • ロシア
その他
  • 欧州連合(EU)(英語版)
廃止
大使館
公使館
  • 大韓帝国(英語版)(1905年11月17日閉鎖)
総領事館
領事館
  • 在タコマ日本帝国領事館
在アメリカ合衆国外国公館の一覧(英語版)   カテゴリカテゴリ